しらかば動物病院

最新医療と行動学

しらかば動物病院

新船橋駅前

駐車場あり

047-425-2148

しらかば動物病院

消化器科

主な症状

  • 食欲不振
  • 流涎(よだれ)
  • 嘔吐・吐出(吐く)
  • 軟便
  • 下痢
  • 便の変化(色、粘膜、血液の混入など)
  • お腹が張っている(便秘・排便障害)
  • 元気がない
  • 体重減少
  • 多飲多喝

便の異常

固い便

軟便

下痢便

食道

巨大食道症

症状

吐出が認められる。

注意事項:吐出と嘔吐(胃の中のものを吐く)行為とは異なっています。嘔吐はお腹の辺りを何回か収縮させながら胃の中身を吐き出す行為に対して、吐出はまえぶれなく食道内のものをいきなり吐き出すイメージが合っていると思います。

原因

重度の食道炎、裂孔ヘルニア、副腎皮質機能低下症、重症筋無力症、自律神経失調症、多発性筋炎、腫瘍、ジステンパーなどの基礎疾患が原因でなることが多い。先天性巨大食道症もある。

治療

食事をする際は濁時が拡張した食道内に停滞しない様に食事中、食後〜30分ほど犬を立位で維持する。(立位とは両前足が台にのって体が垂直方向に向いている状態)

必要に応じて胃瘻チューブを設置することもある。

まずは基礎疾患がある場合はその治療も開始する。

食道炎

症状

食欲低下、よだれが出る、おえおえしている、咳をしている等があるが、軽度の場合にははっきりしない場合が多いため、見逃されることも多い。

原因

誤食、麻酔かけたことにより2次的に発生したり、薬の投薬が関連していたり、嘔吐を繰り返したことによって胃酸が食道を荒らしてなったりすることがある。

治療

  • 胃酸分泌を抑え、逆流を防ぐ
  • 胃の入口の状態を改善すして内容物を腸に送り込む

以上の対策として

胃酸分泌抑制薬の使用、胃運動を高めるために消化管運動改善薬を使用。また食道粘膜保護剤を使用。

重症の場合、必要に応じて胃瘻チューブ等の設置を考慮します。

胃腸

急性胃炎

症状

食べたものや胆汁などを吐く症状だが体重が減る等は稀である。他に食欲不振、元気がない等も頻発する。

原因

一般に腐ったものや中毒性のもの、化学物質の刺激のあるもの、ステロイドは消炎鎮痛剤、食物アレルギーやパルボウイルス、ジステンパーウイルスによる感染症などがある。また、尿毒症、肝不全、副腎機能低下、ストレスなどからも起こりうる。

治療

消化管機能改善薬、制吐剤、胃酸分泌抑制薬の使用がよくされる。急激な頻回の吐き気がつづく場合、入院を点滴をおこない、経口の投薬をさけ、注射による薬剤投与が望ましいと思われる。

胃運動障害

胃アトニーといわれる場合もある。

症状

胃に食べたものが長時間滞留するので、胃もたれ状態になり、食欲が低下する。また、胃が十分にひろがなくなることによって嘔吐が引き起こされる。

原因

色々な原因で引き起こされるため箇条書きでしたに示した。

原因疾患
  • 慢性胃腸炎
  • 胃潰瘍
  • パルボウイルス性腸炎
  • 膵炎
  • 糖尿病  など
原因薬剤
  • 抗がん剤
  • アトロピン
  • モルヒネ
  • 高用量のステロイド
その他
  • 高脂肪な食事
  • ストレス
  • 開腹手術後

治療

胃運動障害の原因を見つけ、原因疾患の治療や、原因薬剤の休薬をおこなう。

つまっている等がなければ消化管機能改善薬の使用、制吐剤の使用、また、特に食事管理が重要になる。食欲が出ないときには食欲増進剤、胃瘻チューブの設置や食道チューブ、軽鼻カテーテルを介しての給与を行うこともある。余談であるが当院では胃に刺激を与えるために軽度のマッサージも行っている。(マッサージが不適な症例もあるため注意)

胃・腸管内異物

症状

小腸内異物の場合、頑固な嘔吐や、食欲不振、沈鬱や腹痛などがある。

大腸異物では通り道が広いので通常異物閉塞を引き起こすことはほとんどない。閉塞を起こした場合は腫瘍などを先に疑う。余談として人のストッキングを食べていて数週間嘔吐が続いていた子を確認したら大腸に停滞していて浣腸等で流れた子がいました。

原因

異物を誤飲する習慣がある。食べ物と間違って食べてしまう。

治療

胃内異物であれば、そのサイズ、形状で催吐処置によって吐かせてしまうこともある。また、胃内に内視鏡で取ることのできる材質や大きさのものであれば麻酔下で内視鏡を行い除去する。それ以外の場合胃切開手術を行う。腸内異物の場合、体に害がなく排便まで通過できそうな場合は内科治療を行うが、閉塞、停滞の恐れが高いものに関しては手術により除去する。

炎症性腸疾患

症状

主な臨床症状として、小腸性下痢、大腸性下痢、嘔吐、食欲不振、体重減少、腹痛などが認められる。小腸の病変が重度であれば嘔吐、下痢が主症状となり、結腸が重度であれば下痢が主となる。

原因

腸粘膜における持続的な炎症や腸絨毛の障害がこの病気の発現に関与しているといわれている。

治療

まず、炎症性腸疾患かどうか鑑別することが大事になってくる。同様の症状を呈する慢性腸症のなかで食事反応性腸症、抗菌剤反応性腸症、リンパ腫などの腫瘍、寄生虫他がないかを確認する。

治療では免疫抑制剤の使用

  • プレドニゾロン
  • シクロスポリン
  • ブデソニド
  • アザチオプリン
  • クロラムブシル

低脂肪食、その他の薬剤

を使うが、最近の傾向としては食事療法を積極的におこない、低脂肪がダメなら超低脂肪療法としてホームメイドsの脂肪がほぼ入っていない食事をやることが多い。

胃十二指腸潰瘍

症状

慢性の嘔吐や食欲不振が持続しているときなどに起こっていることがある。全身状態が徐々に悪化していくこともあるので注意が必要。

原因

胃や腸に存在する病変や異物の存在によって物理的な障害、また胃酸分泌過多によって形成される。

腎臓の病気や、肝臓の病気、炎症性腸疾患などの他、異物、薬物の摂取などが挙げられる。また、中〜高齢動物においては、腫瘍性疾患による潰瘍をよく見かける。

治療

治療は原因となる病気の治療がまずあるが、他に原因となっている薬剤の投与の中止、胃酸分泌抑制および上部消化管粘膜保護などがある。

重症の子では消化管穿孔が起こり、緊急手術が必要になる場合がある。

幽門狭窄

症状

頻度を増しながら数週間〜数ヶ月以上持続する慢性の間欠的な嘔吐で、食後数時間してから未消化物や半分消化された物を吐くことが多い。一般的に液体は通過するので脱水は起こしづらい。他の兆候として腹部が膨れる、不快感、体重減少、元気消失、食欲不振などがある。誤嚥性肺炎や逆流性食道炎を伴うこともある。

原因

幽門輪状筋が厚くなったり、幽門洞粘膜が厚くなったりして症状を引き起こす。前者は先天性と言われており、若い子で見られるが若くない子でも認められる。後者は小型犬で多く、オスに多い。詳細なメカニズムはまだ明らかになっていない。

治療

脱水、電解質異常が認められる場合はこれを治療する。食道炎や誤嚥性肺炎を併発している場合はこれに対する治療も必要になる。

症状にもよるが外科による治療が多くの場合勧められる。当院ではこの外科に関しては院内では行っておりません。

寄生虫感染 回虫・鉤虫・鞭虫

回虫症

←回虫の成虫が便の中に出てくる。

多いと吐いた際に出てくることもある。

←回虫の卵

症状

嘔吐、下痢、発育不良、腹部膨満、貧血、削痩などが現れる。しかしながら、臨床現場では下痢症状以上の物が出ていることは非常に少ない印象がある。当院で経験した事のあるものとして腹部膨満、発育不良はまだ遭遇したことがない。貧血、削痩はごくわずかなイメージがある。

原因

虫卵を摂取するだけで中間宿主を介さない直接発育が成立。外界に排出された虫卵は条件によっては何年も生き続ける。虫卵排泄は感染後4〜5週で起こる。その為感染しても虫卵が排出されない期間があり、検便検査では診断できない時期がある。年齢抵抗性があり虫卵を排出するのは子犬の時期が多い。

治療

駆虫薬による駆除だが体内移行中の幼虫には効果が低いものもある為必要に応じて移行中の幼虫に高い効果があるものを使用する事もある。

世界的に分布しており、国内の犬でにも普通にみられる。どこで生まれた子犬であっても観戦している可能性がある為、子犬期の駆虫とその後の定期的な駆虫が重要である。また、人に幼虫移行症を引き起こすことがある。*特に幼児への感染は危険性が高く、移行先によっては重症になる場合がある。

鉤虫症

症状

幼若犬に貧血、粘血便(タール便)を伴う下痢、発育不良、浮腫などの症状が認められる場合に疑う。糞便検査による虫卵の検出が有効であるが甚急性型や急性型では虫卵が検出されない事もあるので注意を要する。

貧血(抗凝血成分を分泌する為出血しやすく貧血を助長)、皮膚炎、臓器機能障害(肺他)を引き起こす。犬の鉤虫症の病態は3つに大別される。

甚急性型:経乳感染に起因する。50体以上の虫体感染で致死的になる。

急性型:幼若犬が一度に多数の感染を受け、食欲不振、削痩、下痢、粘血便、貧血などの症状を呈し、腹痛等がおこる。更に衰弱すると膿、浮腫、心悸亢進、呼吸困難となり虚脱に陥る。

慢性型:一般的な病態。軽度の貧血を呈するが顕著な臨床症状を欠く。糞便中に虫卵を排出する。

原因

糞便中に排泄された虫卵が高温、多湿ですみやかに発育し、1日で孵化する。幼虫は微生物などを摂取して発育し、2回の脱皮を行って感染力をもつ感染幼虫となる。感染経路として、経皮感染、経口感染、経乳感染、胎盤感染、待機宿主の捕食(マウス、ゴキブリなどを口にしてうつる)

治療

抗線虫薬が有効だが見掛け上駆虫薬が効かない状況があり、駆虫薬を長期間頻回投与を余儀無くされることがある。

犬鉤虫は日本全土に分布する普通種で、世界各地に分布。狭頭鉤虫は日本では犬では報告がないが狐で見つかっている。