中毒科
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ユリ中毒



原因物質
- 毒の成分は不明
- ユリ属の花は、猫に対する毒性が非常に強い。
- 体についた花粉をなめただけでも中毒症状がみられることがある。
- 葉っぱや、はなびら1枚でも死亡する可能性がある。
- ユリ科植物として、テッポウユリ、オニユリ、コオニユリ、ヤマユリ、キスゲ、カサブランカ、イースターリリー等多数あり。
症状
食欲不振、嘔吐、よだれ、沈鬱 | 数時間以内 |
多尿、尿糖 | 1日以内 |
血液検査異常(BUN,CRE,P上昇)、嘔吐、脱水等 | 1日 |
死亡 | 〜7日 |
治療
- 点滴治療
- 腹膜透析
ぶどう中毒(犬)

マスカットもブドウもレーズンも注意が必要です。
原因物質
- 毒の成分は不明。タンニンが関与しているかもしれない。
- 中毒量は個体差が大きい。どんな量でも中毒になる可能性あり。
- 高Caになる。
症状
- 下痢、嘔吐、食欲不振、虚脱。
- 嘔吐は高確率で起こる。(〜48時間)←急性腎不全関与
- 最も問題なのが腎障害。近位尿細管の変性、壊死をおこす。
- 神経症状を引き起こすこともある。
治療
- 催吐処置:消化が遅いので摂取後数時間でも催吐処置適応
- 活性炭投与
- 十分な輸液治療
キシリトール中毒

最近はガム以外にもタブレットなども出ているので注意しよう。
原因物質
- 1粒/kgで中毒量になってしまう。
- キシリトールによってインスリンが大量に放出される。
- インスリンによって低血糖や、肝障害を起こす。
症状
- 1時間以内に低血糖になることが多い。
- 半日から2日で肝障害を起こす。
- インスリンのせいで低K,低P、低Mg血症をおこす。
- 下痢、嘔吐
- 低血糖による運動失調、ウトウトとまどろむ軽い意識障害。
- 重症だとぐったりしたり、発作がでる
- 肝障害からは発作や意識が遠のいたりする。
- 肝障害の問題として血液凝固が異常を起こす。(DIC)
治療
- 催吐処置
- 静脈点滴
- 低血糖の補正
- 低K、P、Mg血症の補正
- 肝臓保護治療
- 凝固障害に対して輸血等
- 1日経過しても悪化しなかったものは経過観察
たまねぎ中毒

玉ねぎだけでなく、ネギ類に注意。

原因物質
- 中毒物質は有機硫酸化合物
- 犬だと5〜数十グラム/kgで中毒量。(5グラム以下でも症状出る子もいます)
- 猫だとたった5g/kgで中毒を引き起こす。
- ネギ類(タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラ)等で同様の症状が出る。
症状
- 摂取48時間で症状が出ることが多い。
- 大量であればすぐに溶血が見られる
- 最初は嘔吐、下痢、血尿、黄疸等。呼吸が荒くなっている子もいました。
治療
- 催吐処置
- 胃洗浄
- 点滴治療(脱水の改善)
- 活性炭投与
- 溶血性貧血に対しての輸血や酸素吸入
- 抗酸化治療(VC,VE)
たばこ中毒

タバコは意外と口にしてしまうので拾い食いに注意
原因物質
- 主成分はニコチン
- タバコは水に浸かると半分以上のニコチンが溶け込む。吸収が早まってしまう。
- 中毒量としては約10mg/kg。
- タバコだと1本で〜30mg。
- シガレットだと〜40mg。
- 電子タバコだと1本〜7mgの量になる。
症状
- 頻回嘔吐、よだれ、頻脈、興奮
- 食べてから1時間以内で発症する。
- たべて4時間は注意しましょう。その後の症状は出ることが少ない。
- 重度だと意識障害、呼吸器麻痺、不整脈、縮瞳等。
治療
- 催吐処置
- 活性炭投与
- 重症では呼吸管理
- 注意点としては胃酸を抑える治療はしない
イブプロフェン中毒

風邪薬としてよく飲まれているが遊んでいて1箱全て食べてしまう子もいるようです。
原因物質
- 猫で犬の半分量で中毒になる
- 併発するものとして高脂血症による膵炎のリスクがある。1〜3日で
- 横紋筋融解症を併発することもある。
- 風邪薬の多くに入っている。咳用、鼻水用、喉用すべての種類に入っている可能性があるので注意しましょう。
症状
- 消化器症状
- 腎不全症状
- 中枢神経症状
- 〜125mg/kg ←イブプロフェン量が
-
食欲不振、下痢、嘔吐、腹痛
- 〜400mg/kg
-
多飲多尿、尿毒症、乏尿、黒色便、吐血
- 600mg/kg〜
-
けいれん発作、ショック、死亡
治療
- 催吐処置
- 胃洗浄
- 点滴
- 脂肪乳剤点滴
- 抗てんかん薬
- 制吐剤
- 活性炭投与
- 強制利尿
チョコレート中毒

原因物質
- メチルキサンチン類(カフェイン、テオフィリン、テオブロミン等)
- カフェインは口にしてから2時間以内に中毒症状が発現しやすい。
- テオブロミンは2〜4時間で症状がでて、摂取10時間くらいがピークになる。
- メチルキサンチン類は濃度で症状が違います。
症状
- 軽度
-
嘔吐、下痢、興奮、多尿、高体温等
- 中等度40〜50mg/kg
-
頻脈、頻脈性不整脈
- 重度
-
痙攣発作、チアノーゼ、呼吸困難
- 致死量100mg以上
治療


- 催吐処置
- 胃洗浄
- 活性炭投与
- 輸液
他にもパン生地中毒、マカデミアンナッツ中毒、カエルの毒等が有名です。最近は猫のリポ酸中毒がこわいです。(1粒でも死亡のリスクあり。肝障害、低血糖、発作など起こす)
中毒ではありませんが防水スプレーが肺の虚脱をおこすことがあるので動物に吸い込ませない様に注意しましょう。(よく考えると人も気をつけたほうがいいですね)
注意事項
ネット上で塩で吐かせる、消毒薬(オキシドール)で吐かせる等の内容が記載されていますが、それぞれ脳への影響、消化管を壊してしまうというリスクをよく理解してる方以外は使用は好まれません。理解されていてもなるべく使用しないことをお勧めします。