腫瘍内科
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肥満細胞腫

顕微鏡で左のような細胞が認められる。
症状
皮膚の肥満細胞腫、消化管の肥満細胞腫等があるがここでは消化管のものに関して記載する。高齢の猫で多いが犬の消化管でも見かける。消化器症状が一般的だが症状のないものもある。無症状で腹部の触診で確認されることがある。消化器症状としてはしぶり、血便、下痢、食欲低下、閉塞による嘔吐、体重減少、穿孔による貧血、元気消失、虚脱等さまざまである。
診断
問診による消化器症状の有無、病歴。身体検査における丁寧な腹部触診によるしこりの触知。超音波検査やレントゲン検査等をおこなうことで確認されることが多い。
治療
腸管の肥満細胞腫に対する治療の第1選択は外科的に切除する。そしてそのグレードによって抗がん剤治療を組み合わせて行ったりする。抗がん剤もビンブラスチンやロムスチン、クロラムブシル、トセラニブ、イマニチブなどがあり、それぞれの症状や、犬猫の体調、遺伝子配列、抗がん剤の効き等で随時変わってしまう。また、新しい抗がん剤もでてきているので書かれているもの以外の使用もあると思われる。
リンパ腫

体表のリンパ節が腫れて気づくことが多々ある。
症状
多中心型リンパ腫:顎下や、膝の裏、頸部にしこりを感じて来院する方が多いが、体重の減少や、呼吸がおかしい、元気がない、食べるのが辛そうといった症状をていすることがある。
胃腸菅リンパ腫:慢性的な消化器疾患(嘔吐、下痢、食欲不振、体重減少など)を呈することが多いが、急性の経過をとるものもある。血便、しぶりが見られることもあり、便が細くなったり出にくくなることもある。
皮膚リンパ腫:皮膚病変は、紅斑や局面、結節、腫瘤、びらん、潰瘍、丘疹、色素脱、落屑などさまざまである。一般的な皮膚治療でなおらず広がっていくようであれば少し疑う必要がある。
診断
多中心型リンパ腫:体表リンパ節の腫れている、硬結しているものを針生検し、必要に応じてリンパ節自体を取り出し病理検査をおこなう。
胃腸菅リンパ腫:超音波検査をおこない腫瘍部位がみつかればその部位の針生検を行い、必要であれば外科切除をおこない、とったものを病理診断する。また、腫瘍部位は見当たらないがリンパ腫を疑う子では内視鏡を使って生検をおこない病理診断をおこなう。
皮膚リンパ腫:皮膚病変をパンチ生検して病理診断を行う。
治療
基本は抗がん剤治療を行うが胃腸菅リンパ腫では必要に応じて切除を行うことも一定の割合でいる。
リンパ腫と一概に言っても悪性度が強いものもあれば長生きできるものもあり、それぞれにおいて違った抗癌治療が行われる。
軟部組織肉腫
症状
犬の皮膚、皮下に発生する腫瘍の十数%を占める。
症状はほとんど見られないが関節周囲や、神経や骨に浸潤しているこではは行や、痛みが見られることがある。
診断
針生検で行われることが多く、できものから間葉系細胞が採取された場合うたがう。
治療
第一選択は外科的切除になる。完全切除ができた場合根治が期待できる。その他で補助的な治療として放射線治療や化学療法が挙げられる。
腸腺癌
症状
食欲不振、体重減少、嘔吐、下痢、血便等があり、発生部位でかわる。
診断
多くの場合、上記の症状で念入りな触診を行うと腹部に腫瘤を触知できる。血液検査では貧血や、低アルブミンが見られることがあるので注意が必要である。エコー検査で腫瘍部位を見つけられることが多々ある。その際、針生検でリンパ腫や、肥満細胞腫を除外しておくことが大切である。
治療
外科的な切除が大切になってくる。転移や脈管浸潤がある場合化学療法を考慮する。現時点で当院ではカルボプラチンやドキソルビシンなどの抗がん剤を選択することが多い。